拓海広志「キラキラの国の再生力(2)」

この文章は1993年にジャカルタで書かれたものです。 * * * * * * 昨年ジャカルタに居を移してから、早くも1年半が過ぎようとしている。週末の僕は、この街の喧騒と澱んだ空気、そして東京、大阪、香港、シンガポール、ソウル、台北、上海、ニューヨー…

拓海広志「キラキラの国の再生力(1)」

この文章は1993年にジャカルタで書かれたものです。 * * * * * * 夕暮れ時に家の近所を散歩する。縁台に腰掛けて夕涼みをしている人々と、その足下でうずくまる鶏たち。そして家々の間に所狭しとばかりに干された洗濯物の間を縫うようにして薄暗い路地…

拓海広志「キラキラの国のシティライフ(3)」

この文章は『月刊オルタ』の1996年8月号に掲載された拙文に少し手を加えたものです。ただし、オリジナルの原稿を書いたのは1993年です。 * * * * * * ジャカルタ暮らしもそろそろ1年半になってくると、体内の水分もインドネシアのそれと入れ替わり、皮…

拓海広志「キラキラの国のシティライフ(2)」

この文章は『月刊オルタ』の1996年7月号に掲載された拙文に少し手を加えたものです。ただし、オリジナルの原稿を書いたのは1995年です。 * * * * * * 友人と一緒にフィリピンへ遊びに行ってきたKさんから聞いたところでは、彼女の友人はマニラで出会っ…

拓海広志「キラキラの国のシティライフ(1)」

この文章は『月刊オルタ』の1996年6月号に掲載された拙文に少し手を加えたものです。ただし、オリジナルの原稿を書いたのは1994年です。 * * * * * * ある日曜日の夕方、友人J君の妹から「Jの様子がおかしいの。今すぐ助けに来て!」という電話が掛か…

拓海広志「羽黒フォーラムにて(3)」

1996年と1997年の2回にわたり、僕は「アジア・パシフィック・ユース・フォーラム」(国際文化会館と国際交流基金の共催)に出席させていただきました。このフォーラムのルーツは、インドネシアの故スジャトモコ氏(前国連大学長)、タイのスラック・シワラッ…

拓海広志「羽黒フォーラムにて(2)」

1996年と1997年の2回にわたり、僕は「アジア・パシフィック・ユース・フォーラム」(国際文化会館と国際交流基金の共催)に出席させていただきました。このフォーラムのルーツは、インドネシアの故スジャトモコ氏(前国連大学長)、タイのスラック・シワラッ…

拓海広志「羽黒フォーラムにて(1)」

1996年と1997年の2回にわたり、僕は「アジア・パシフィック・ユース・フォーラム」(国際文化会館と国際交流基金の共催)に出席させていただきました。このフォーラムのルーツは、インドネシアの故スジャトモコ氏(前国連大学長)、タイのスラック・シワラッ…

拓海広志「遠津川にて・・・」

これは1999年に書かれた文章です。 * * * * * かつて都からの遠さゆえに遠津川とも称されていた十津川は、吉野、高野の深山が蓄えた雨の雫を集め、深い峡谷の間を縫うようにしながら、やがて熊野川に合流して遥か太平洋の熊野灘を目指す流れとなる。険…

拓海広志「渡海−人は何故海を渡るのか?(3)」

1989年から1994年にかけて「ミクロネシアの伝統的帆走カヌーによるヤップ〜パラオ間の石貨交易航海の再現プロジェクト(アルバトロス・プロジェクト)」が実施されました。1995年初頭に僕が書いた小文をここに転載させていただきます。 * * * * * * *…

拓海広志「渡海−人は何故海を渡るのか?(2)」

1989年から1994年にかけて「ミクロネシアの伝統的帆走カヌーによるヤップ〜パラオ間の石貨交易航海の再現プロジェクト(アルバトロス・プロジェクト)」が実施されました。1995年初頭に僕が書いた小文をここに転載させていただきます。 * * * * * * *…

拓海広志「渡海−人は何故海を渡るのか?(1)」

1989年から1994年にかけて「ミクロネシアの伝統的帆走カヌーによるヤップ〜パラオ間の石貨交易航海の再現プロジェクト(アルバトロス・プロジェクト)」が実施されました。1995年初頭に僕が書いた小文をここに転載させていただきます。 * * * * * * *…

拓海広志「神戸再生への序章」

1995年の1月17日に神戸を阪神大震災が襲いました。その年の春に僕が書いた小文を、ここに転載させていただきます。 * * * * * * * * * * * * * 1月17日の朝、僕は出張先のボンベイで阪神地方を襲った大地震のことを知った。自身の故郷であり、その感性や精神…

拓海広志「信天翁の会・原論」

1989年5月20日に発足した環境活動支援ネットワークのアルバトロス・クラブ(現代表:高橋素晴さん)も、来年には創立20周年を迎えます。今後はそれを記念したイベントも企画されているようですが、クラブ創設時の初心を思い起こすために、僕が1991年に同クラ…

拓海広志「『ミッドナイトイーグル』を観る : 高嶋哲夫さん」

高嶋哲夫さんの小説『ミッドナイトイーグル』が映画化されたので観てきました。以前『LIMIT OF LOVE 海猿』や『日本沈没』(リメイク版)といった映画を観たときにも同様のことを感じたのですが、関係省庁・機関(『ミッドナイトイーグル』は防衛省、『LIMIT…

拓海広志「メリー・クリスマス!!」

サンタクロースのモデルとなったのは、3世紀後半に東ローマ帝国小アジアで生まれた聖ニコラウスだと言われています。もっとも、サンタ伝説はローマ時代のサトゥルヌス信仰や、ヨーロッパ各地の古い信仰に見られる年神伝承などとも融合しているため、正統的な…

拓海広志「素晴の「帆」に思いを込めて : 高橋素晴さん」

僕が25歳のときに仲間たちと立ち上げたNPO「アルバトロス・クラブ」(環境活動支援ネットワーク)が2009年に設立20周年を迎えます。クラブの目的は「人と自然とモノの関係性について関心を持ち、何らかの社会的活動を行っている人たちのサロンとして、交流と…

拓海広志「京都精華大学にて・・・」

今年は年明け早々からずっと仕事が忙しく、休暇を全く取れないばかりか、週末もほとんど休めぬまま11月を迎えてしまいました。そこで11月7−9日にかけて遅ればせながらの夏季休暇を取ったのですが、その間も7日は京都精華大学で講義を行い、8日は日本IBMで開…

拓海広志「『ビジュアルでわかる船と海運のはなし』で紹介した文献リスト」

拙著『ビジュアルでわかる船と海運のはなし』は船と海運の入門書として書かれたものですが、それ故に本書を読了後さらに理解を深める上で有益と思われる文献や映画を本書中で多数紹介させていただいています。ここにその一部を挙げさせていただこうと思いま…

拓海広志「『ビジュアルでわかる船と海運のはなし(改訂増補版)』のご紹介」

昨年5月に拙著『ビジュアルでわかる船と海運のはなし』(成山堂書店)を世に送り出してから約1年半が経過しました。この間にも海運・物流業界は激しく動いており、そうした変化の概要を記述するために3版目となる今版(11月8日発行)を改訂増補版とさせてい…

拓海広志「『タガロア再発見』を読む」

インドネシアのマナドに住む在野の研究者ジョン・ラハシアさんが1970年に発表した論稿『Penemuan Kembali Tagaroa(タガロア再発見)』を、僕は今から十数年前に邦訳したことがあります。太平洋の島々をめぐる人類学や考古学上の数々の研究成果は、その時点…

拓海広志「タガロアの故郷を訪ねて(4)」

これは今から10数年前のある年の6月末に、インドネシアのマナド、サンギールを旅しながら書いた日記からの抜粋です。 * * * * * * * * ★6月27日(後編) 陶磁器の話になったところで、ちょっと余談を許してほしい。昨年の8月9日は聖者マホメットの生誕日…

拓海広志「タガロアの故郷を訪ねて(3)」

これは今から10数年前のある年の6月末に、インドネシアのマナド、サンギールを旅しながら書いた日記からの抜粋です。 * * * * * * * * ★6月27日(前編) 朝5時、船はサンギール島のタルナに到着した。あいにく外は雨模様だ。僕たちは波止場で客引きをして…

拓海広志「タガロアの故郷を訪ねて(2)」

これは今から10数年前のある年の6月末に、インドネシアのマナド、サンギールを旅しながら書いた日記からの抜粋です。 * * * * * * * * ★6月25日 朝からエディ・マンチョロさんと二人の息子さん、そしてジョン・ラハシアさんと僕の5人でブナケン島とシラデ…

拓海広志「タガロアの故郷を訪ねて(1)」

これは今から10数年前のある年の6月末に、インドネシアのマナド、サンギールを旅しながら書いた日記からの抜粋です。 * * * * * * * * ★6月24日 昨日仕事でスラバヤまでやって来たのだが、少し遅くまで客と飲んでしまったので朝起きるのがちょっと辛い。それ…

拓海広志『漁港』♪

高校時代の僕はしばしば日本の各地を旅していました。そして、そんな旅で訪ねた幾つかの漁港で見た光景を歌ったのが『漁港』という曲です。それから27年、日本の漁村の風景はかなり変わりましたね・・・。 【漁港】 (詞・曲/拓海広志)(1980年) この小さ…

拓海広志『港町・涙雨』♪

これは高校時代に作った演歌ですが、ちょっとだけ赤木圭一郎的なイメージも抱きつつ書きました(笑)。赤木さんと言えば、僕の印象に残っている映画は『俺の血が騒ぐ』と『霧笛が俺を呼んでいる』ですね。今でも深夜に独り酒をしながら、たまにああいう映画…

拓海広志『素晴らしき仲間たちよ』♪

今回は高校時代にスポーツや音楽を通して付き合っていた仲間たちをイメージして作った曲をご紹介させていただきます。 【素晴らしき仲間たちよ】 (詞・曲/拓海広志)(1982年) ほとばしる汗と 真実(ほんもの)の涙が 俺たちの心を 通わせるのさ いろんな…

拓海広志『Feeling Love for You』♪

今回は少々照れますが、高校1年生の頃に付き合っていたガールフレンドに贈った曲を紹介させていただきます。とても下手くそな英語だけど、それがまた初々しくていい感じでしょう?(笑) ちなみに1番の詞は、友人の土本浩二さんが書いてくれたものを僕が補…

拓海広志「島のエコツーリズム」

シップ・アンド・オーシャン財団(海洋政策研究財団)のニューズレター第160号(2007年4月発行)に寄稿した小文をここに転載させていただこうと思います。 ★エコツーリズムとは何か? エコツーリズムは、観光資源を使い捨てにしがちだった従来型のマスツーリ…