2006-11-16から1日間の記事一覧

拓海広志『神戸酔眼』

昼過ぎから降り始めた小雨は、夕方になってもまだやみそうになかった。僕は読みかけのヘンリー・ミラーを閉じて店を出た。 「昼間から喫茶店の隅で読む本じゃないよな」 そうは呟いてみたものの、そいつは僕を少しばかり退廃的な気分にさせていた。 競い合う…